イスラエル軍は1日、イランがイスラエルに向けてミサイルを発射したと発表した。大半は撃墜されたとみられる。イランによるイスラエルへの直接攻撃は4月以来、2回目。イスラエル軍報道官は反撃を示唆しており、中東の緊迫の度合いは一段と高まった。
[2024/10/02 ロイター]米東海岸で港湾スト突入、1977年以来 物流混乱・経済損失に懸念
米東海岸とメキシコ湾岸の港湾労働者が1日、ストライキに突入した。全米の海運の約半分を担う36カ所の港湾に影響し、食品から自動車に至るまで幅広い物流活動が停滞するとみられる。
港湾労働者約4万5000人を抱える国際港湾労働者協会(ILA)が使用者団体の米海運連合(USMX)と進めてきた新たな労働協約を巡る交渉が9月30日の期限を前に決裂していた。
ILAがストを実施するのは1977年以来で、1日当たり数十億ドルの経済損失をもたらし、物価を押し上げて雇用も脅かすとアナリストは警告する。
[2024/10/01 NHK]10月の食品値上げ2900品目余 ことし最多 ペットボトル飲料など
10月に値上げされる食品は、ペットボトル入りの飲料やハム、ソーセージなど2900品目余りに上り、ことしに入って最も多くなったことが、民間の調査会社のまとめでわかりました。
帝国データバンクが国内の主な食品メーカー195社を対象に行った調査によりますと、10月に値上げされる食品は2911品目となり、2800品目余りだった4月を超えて、ことしに入り最も多くなりました。
品目別では、飲料水やお茶などのペットボトル入りの飲料を中心とした「酒類・飲料」が1362品目と最も多く、全体の半数近くを占めました。次いでハムやソーセージなどの「加工食品」が673品目となったほか、チョコレート関連の商品をはじめとする「菓子」は237品目に上りました。
10月に入りインフレを再燃させかねない重大な出来事が次々と起きました。
中東ではイスラエルがレバノンに地上侵攻し、イランはヒズボラのカリスマ指導者ナスララ師殺害への報復としてイスラエルに180発のミサイルを発射・攻撃し、普通であればいますぐ大戦争に発展してもおかしくありません。
イランはいつでもホルムズ海峡を封鎖して石油サプライチェーンを麻痺させる力があります。もし実行に移されれば石油の8割を中東から輸入する日本に甚大な影響が出るのは必至です。
ただ4月にもイランはイスラエルをミサイル攻撃したもののそれ以上の攻撃は行いませんでした。今回も追加の攻撃やヒズボラへの軍事支援強化の話は聞こえず、むしろ停戦を望んでいるようです。
最もインフレ再燃の引き金を引きそうだったのは今月1日に始まった米国の東海岸・メキシコ湾岸での港湾ストライキです。
これにより米国の貿易量の半分、コンテナ量の6割を取り扱う港湾が閉鎖されたので、ストの長さ次第ではサプライチェーンに相当な影響を与える可能性がありました。
タフト・ハートリー法を発動すればストを強制的に終わらせられますが、バイデン政権は大統領選挙への悪影響を恐れて発動に消極的でした。
ところが今月3日に港湾側が労働組合側に6年間で62%の賃上げを提示し両者は暫定合意し、今月1日に期限切れを迎えたマスター契約を来年1月15日まで延長することで、ストは終結し港湾での活動は再開しました。
そのためサプライチェーンの大混乱は避けられそうです。でも1週間ストが続くだけで影響は1カ月以上続き、年末年始の輸送にまで影響が残ると言われていました。
すでに迂回したコンテナ船が集まっている西海岸では混雑が続いていますし、海運会社は運賃を引き上げており、しばらくストの影響は残りそうです。
海運のように複雑なネットワークは、一か所でボトルネックが発生すると世界に伝播し、その悪影響は雪だるま式にみるみる膨張していく性質があります。
好例が感染症の拡大です。2020年に武漢で発生した新型コロナウイルスがたちまち世界に伝播して経済を麻痺させたのは、何億人もの人々が世界を行き来して人流が複雑なネットワークを構成しているからに他なりません。
前回ストが発生した47年前と比べ、世界はグローバル化が遥かに進展しています。
海運の混乱は感染症より伝播スピードは遅いですが、その分時間が経てば経つほど、揺れの遅い長周期地震動のように世界に計り知れないダメージを与えかねません。
日本では再び円安基調になり始めており、米不足が表面化してしまいました(農林水産省が長年減反政策を続けた結果です)。そこに世界のサプライチェーンの混乱が加われば、文字通りの緊急事態がやってきておかしくありませんでした。
大地震や大津波が忘れたことにやってくるのと同様に、高インフレも忘れた頃に突然やってくるものです。
今回の教訓は、高インフレはそれが訪れる前に備えておくしか対策は出来ないということです。
★本日はアボマガ・エッセンシャルの配信日です。
「不気味なマグマが溜まり続けるブラックゴールド」
ブラックゴールドとは石油のことです。石油市場の短中長期の見通しについて独自に分析しています。
いまの原油価格は脱炭素化が世界で勢いよく不可逆的に進行し、石油需要が長期的に激減するというIEAの悲観的なシナリオを織り込んでいます。
でもこの前提にはホルムズ海峡の封鎖やサプライチェーンの混乱といったリスクは全く考慮されていませんし、そもそもIEAの前提によって石油会社の増産意欲は削がれています。
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石油輸入国である日本にとって、将来の石油需給の見通しを見誤ることは私たちの生活を脅かしかねません。新聞やネットを見るだけではわからない石油需給に関する正しい情報をいまのうちに得て将来に備えておきませんか。