今月17~18日のFOMCでFedは4年半ぶりの利下げ(0.5%の利下げ)を決めました。
インフレ率が低下しているなかで、労働市場に悪化の兆候が見られ始めたのが利下げをした理由です。
今回のパウエル議長の対応は、2021年にインフレ率が急上昇している中、翌年3月まで利上げを渋ったときの鈍重な対応とは正反対です。
確かに米国の新規雇用者数はかなり下方修正され、失業率はジリジリ上昇しています。
でも個人消費は堅調で金融市場に何ら大きな問題が表に出てきているわけではないのに。0.25%でなく0.5%の利下げを決め、さらに今後も積極的な利下げを検討しているようです。
ちなみにすでにインフレ率が6%を超えていた中、2022年3月に3年3カ月ぶりに利上げしたときの利上げ幅は0.25%でした。
インフレ抑制のための利上げが遅れたことの反省で、今回予防的利下げをなるだけ早く行ったと言えば聞こえは良いです。
でも少なくとも現在の経済指標を見る限り米国経済は堅調なのですから、いくら予防的とは言え0.25%の利下げで良くなかったですか。0.5%の利下げは少しやり過ぎではありませんか。
利下げをすればするほど、米国政府は利払いを抑えた国債発行をしやすくなります。
ハリス副大統領とトランプ前大統領はどちらも巨額の財政支援策を打ち出すことが確実です。
どちらかが次期米大統領に就任したときに、パウエルFedの利下げ姿勢は積極的な財政出動、財政規律のさらなる緩みを後押しすることになり、この意味でインフレ容認です。
中東での戦争はエスカレートする一方です。イスラエルがベイルートを空爆し、ヒズボラがテルアビブをミサイル攻撃し始め、第5次中東戦争の寸前かもうすでに始まっているのかもしれません。
米国東海岸の港湾労働者が10月から大規模ストライキを行い世界のサプライチェーンが大きく混乱するリスクが出ています。
どんな理由であれ利下げ中にインフレが再燃すれば、Fedは2021年に続きインフレ制御に失敗したことになります。
パウエル議長は大統領や市場を喜ばして権威や名声を高めることに熱心で、インフレ抑制を大して重視していない姿勢がかなり露わになってきたような気がします。
バーンズ議長(当時)がインフレ高進中に不況入りに入ったことから利下げに舵を切ったのがちょうど50年前でした。その数年後に米国で再び制御不能のインフレが襲来することになります。
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