[2024/08/21 ブルームバーグ]米雇用者数、2009年以来の大幅下方修正-年次基準改定の速報値
2024年3月までの1年間の米雇用者数の伸びは、従来の発表値よりはるかに低いものだった可能性が高い。21日に発表された年次ベンチマーク(基準)改定の速報値で明らかになった。
米労働統計局が発表した年次ベンチマーク改定の速報値によれば、3月までの1年間の雇用者増は81万8000人下方修正されそうだ。1カ月当たりでは約6万8000人減となる。下方修正幅は2009年以来最大。
ベンチマーク改定の発表前の段階では、雇用者数は1年間に290万人増(月平均で24万2000人増)だった。今回の改定を受け、雇用者数の変化を均等に配分したと仮定した場合、1カ月当たり約17万4000人増のペースとなる。これは依然として健全な雇用増加ペースではあるが、新型コロナウイルス禍のピークからは鈍化している。
[2024/08/21 ロイター]「大多数」の当局者、9月利下げ適切との見解=FOMC議事要旨
米連邦準備理事会(FRB)が21日公表した7月30─31日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、当局者の「大多数」が、経済指標がほぼ予想通りとなれば、次回9月の会合で「金融政策を緩和することが適切となる公算が大きい」という見解を示していたことが分かった。
一部の参加者が7月会合で利下げを実施することに前向きだった可能性も示唆された。
[2024/08/24 ロイター]情報BOX:パウエルFRB議長のジャクソンホール講演要旨
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は23日、米年次経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で講演した。
講演の要旨は以下の通り。
*政策調整の時が来た
*われわれは労働市場のさらなる冷え込みを求めることも歓迎することもない
*物価安定に向けてさらに前進する中、堅調な労働市場を支えるためにできることは全て行う
*政策金利の水準で、労働市場の不本意なさらなる低迷などのリスクに対応する十分な余地が得られている
上の最初のニュースは米労働統計局が数字をいじって大嘘をついていたことを事実上認めたことを意味します。
いま世界は嘘や欺瞞、虚構に覆われています。それは金融市場で特に著しいです。
2009年以降15年間の金融相場の活況は中央銀行による巨額のマネー投入で形成された単なる虚構に過ぎません。
「利下げは強気相場を、利上げは弱気相場を招く」というのは典型的な嘘です。
日銀が先月末に利上げを発表して日本株が急落したように、利上げが株価調整を招くことはあり得ます。
しかし1990年代後半、2000年代半ば、2016~19年、2022年10月~現在にかけての利上げ局面で米国株はますます値上がりしました。
理論上、利上げをすると国債利回りが上昇するので、株式により大きな利回りが求められ、株価は調整することになっています。
ところが利上げが新たな高リターンの金融取引の機会を生み、しばらくの間市場をますます過熱にしてしまうのが現実です。
その典型が円キャリートレードです。1990年代後半以降、Fedの利上げ局面で低利の日本円を借りて外国資産で運用するのが一般的になりました。
2000年代半ばには円キャリートレードを介してサブプライムローン市場に多額の資金が流れました。
2023年以降は円安ドル高(円高ドル安)とナスダック総合指数の上昇(下落)がパラレルに動いています。
さらに現在はいつ破綻してもおかしくないジャンク企業に高い金利で貸して儲けるレバレッジドローンとプライベートクレジットが、利上げ局面でますます活況を呈してきました。
何故ならいずれの貸出も変動金利であり、利上げが進むほどリターンが大きくなるからです。
米国の労働市場がこれまで考えられていたよりずっと弱いことが明らかになり、もっと早期にFedは利下げすべきではなかったかというのが市場のコンセンサスになっていきます。
Fedはインフレ退治の利上げ開始が遅れ、今度は景気対策のための利下げ開始が遅れるという失態を繰り返したというのが市場のシビアな見方になるのは避けられません。
先月のFOMC議事録が公表されてメンバーがより利下げに傾いており、時期尚早の金融緩和がインフレを再燃させるとの懸念が後退したことが明らかになりました。
そして先週のジャクソンホールでパウエル議長は労働市場のさらなる冷え込みを防ぐために、近々利下げを行うとの表明としか受け止められない発言をしました。
Fedが目先の汚名返上を優先すれば、円キャリー取引に支えられた17.9兆ドルあるナスダック総合指数も、合わせて2.8兆ドルあるレバレッジドローン市場とプライベートクレジット市場も、活況の前提が覆ります。
トランプ氏は言っています。「選挙前に利下げを行うべきではない」と。
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