先月末の金融政策決定会合で植田総裁は利上げと量的引き締めの開始を発表しました。
安倍元総理と黒田前日銀総裁が主導して推し進めた10年間にわたる大規模緩和路線を修正、否定するという重い決断でした。
ところがこの発表を受けて一時急速な円高と日本株の歴史的暴落が起こったことで、植田総裁への批判が噴出しました。
とりわけ日銀生え抜きの内田副総裁が今後も緩和路線を継続すると、植田総裁の決断に相反する意見を公言したのは前代未聞です。
金融政策決定会合の存在意義を脅かし兼ねない軽率な発言であり、内紛や政治的思惑で金融政策は今後唐突に180度変わり得ることを世界中に発信してしまいました。日銀の信用に関わる話です。
植田総裁のタカ派路線への批判噴出のきっかけとなった日本株暴落を起こした犯人は、円キャリートレードをしていた外国人投資家たちと言われてます。
円を借りてドルに換えて米国のハイテク株に投資していたヘッジファンドらが日銀の発表を受けて巻き戻したというわけです。
日本内外の市場参加者や市場関係者たちは「反植田」であり、日銀に今後もハト派路線を続けて欲しいようです。
こうした状況を見ているとかつての高橋是清を思い出します。
いまから約90年前に当時の高橋是清蔵相は、世界大恐慌期に景気浮揚の目的で自身が導入した国債の日銀引き受け(量的緩和)をやめて国債の売却(量的引き締め)を始め、軍部から恨みを買われて二・二六事件で陸軍に暗殺されました。
植田総裁は命を狙われることはないと思いますが、日銀内部や財務省、政治家、(国内外問わず)投資家などから強大な圧力を受けて近いうちに辞任に追い込まれるかもしれません。
二・二六事件の後、日本は戦争の道へと突き進み、際限のない国債発行と株式価格統制で株価下落を人為的に阻止しながら敗戦へと向かい、最終的にハイパーインフレと預金封鎖で国民は財産を没収され無一文となりました。
日本内外の支配層たちは、日本国民が経済的に破滅するのを願っているかのようです。
★現在は日銀の利上げとFedの利下げの流れから、しばらく円高ドル安が進みやすいというのが一般的な見方です。
ただもう少し長い目で見ると、日銀がタカ派のままでいようがハト派に転換しようが、円安が進んでいくという趨勢に変わりなさそうです。この点について詳しくは本日配信のアボマガ・エッセンシャルの記事をご覧ください。
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