プラスチックリサイクルは利益を生むビジネスになり始めている

[2024/05/23 日本経済新聞]プラごみ規制、各国先回り 国際合意迫る

使い捨てプラスチック製品を禁止する動きが世界で拡大している。欧州連合(EU)は2030年に包装廃棄物を5%減らす規制案をまとめた。日本は30年までに容器包装の6割の再利用を掲げ、24年度からはリサイクル設備の導入も支援する。使用抑制は新興国にも広がる。

各国は現在、プラスチック汚染を防止する条約制定に向けて交渉を進めている。年内の大筋合意を目指す。

使い捨てプラスチックの削減はEU主導で進められてきましたが、インド、中国はじめ新興国でもこうした動きは起こっています。

勘違いしてはいけないのは、これは「脱プラスチック」を目的としたものではないことです。

プラスチックの使用をやめるのでなく、プラスチックごみを減らすことで、マイクロプラスチックの生態系循環を減らすと同時に、プラごみが太陽光を浴びることで生じるメタン排出量を減らすことが目的です。

軽くて丈夫なプラスチックの使用を禁止すれば、輸送負担がべらぼうに増えて、燃料の使用が大幅に増えるのでむしろ環境に悪いです。

新興国の経済発展を通じて、2050年にプラスチック需要は現在の倍になると言われています。

プラスチックを今後も利用しつつプラスチックごみを削減するために必要になってくるのが、プラスチックのリサイクルです。

プラスチックのリサイクルは、これまでメカニカルリサイクルが中心でした。

これは選別、粉砕、洗浄、高温除染したうえで、プラスチック製品として再利用する方法のことです。

工程が機械的で単純のため、大がかりな設備を必要とせず、製造コストが少なく、環境負荷が小さいというメリットがあります。

ただリサイクルするごとに品質が劣化し再利用回数が有限なこと、混合プラスチックや多層プラスチックのリサイクルが出来ないという難点があります。

またプラスチックの用途の多くを占める食品包装、消毒液のボトルなど衛生用品向けでは、衛生面から使用に制約が掛かります。

こうしたメカニカルリサイクルのデメリットを克服できるのが、ケミカルリサイクルです。

ケミカルリサイクルとは、熱分解、ガス化、溶媒分解、マイクロ波といった化学的工程でプラスチックを一度化学原料に戻した上で、再度プラスチックを製造する手法のことです。

化学原料に戻すことで半永久的に再利用可能となり、汚染物質を完全除去できるので衛生面のネックもなくなります。混合・多層プラスチックのリサイクルも出来ます。

化学工程で温室効果ガスを排出する難点はあるものの、日本がこれまで行ってきたような、プラスチックを焼却・熱回収するサーマルリサイクルに比べ、二酸化炭素排出量を約50%削減できると言われます。

ケミカルリサイクルでは複雑な工程が必要になり、大掛かりな設備を必要とすることから、投資や処理に多額の支出が掛かります。これがケミカルリサイクルの普及を妨げてきました。

ところがケミカルリサイクルではすでに利益が出るようになっています。

2020年からマージンが急拡大し始め、いまでは2019年以前の倍ほどあります(下図。Advanced recyclingはケミカルリサイクルのこと)。

循環型プラスチックは、従来のプラスチックと違って石油・ガスを原料にしないので、サプライチェーンを上手く構築できれば費用が掛かりにくい、変動しにくいと思われます。

さらに消費者、企業、各国政府いずれも環境への意識が強く、循環型プラスチックにプレミアムを付けて高い利益率で売ることが出来るでしょう。

プラスチックリサイクルのビジネスチャンスは大きいかもしれません。

★プラスチックリサイクルに早くから取り組んでいる企業がアボマガ紹介銘柄にあります。

2019~23年の4年間で、リサイクルや再エネ由来のプラスチック生産量は5.8倍に増えました。

昨年にプラスチックリサイクルの生産体制構築が大きく進みましたので、今年以降生産はますます増えていきます。

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