[2024/05/23 Business Insider Japan]エヌビディアの第1四半期決算、売上・利益ともに予想を上回る…株式分割、増配も発表
エヌビディア(Nvidia)は5月22日(アメリカ東部時間)に第1四半期の決算を発表し、同社の株価はの時間外取引で過去最高値を更新した。
決算発表後、チップメーカーの株価は急騰し、1株あたり1000ドルを超えた。同社は、H100を中心とするAI対応GPUチップの継続的な成功により、売上高が前年同期比で262%急増したと報告した。
Nvidiaはまた、第2四半期の売上高ガイダンスを、アナリスト予想の266億1000万ドルに対し、280億ドルと堅実なものとし、下半期にリリース予定の次世代GPUチップ「Blackwell」を顧客が待ち望む中でも、好調な売上が続くとの見通しを示した。
[2024/05/21 日本経済新聞]サムスン電子、半導体トップ交代 業績不振影響か
韓国サムスン電子は21日、半導体部門を統括する事業部長に全永鉉(ジョン・ヨンヒョン、63)氏が就任したと発表した。2021年末から同部門トップだった慶桂顕(キョン・ゲヒョン、61)氏は半導体事業を去り、全氏の後任として新規事業部門のトップに就任した。
サムスンは役員人事を年末に発表するのが恒例だ。慶氏は通常であれば25年春に任期を終えるとみられていた。同社は今回の人事について「半導体部門の危機を克服し、未来への競争力を確保するという会社の強い意志を示した」とコメントした。
サムスンの半導体部門の営業損益は、23年12月期に14兆8800億ウォン(約1兆7000億円)の赤字だった。半導体部門の赤字は15年ぶりで過去最大だった。24年1〜3月期は市況の改善を受け5四半期ぶりに黒字転換したものの、先端半導体の量産などで他社に後れを取っている。
1枚600万円もするAIチップのバカ売れが続き、エヌビディアの業績、株価はいまだ衰える気配がありません。
エヌビディアのデータセンター向けAIチップは、同社のGPUだけで構成されているわけではありません。
12インチシリコンウェハーを角型に切断した「シリコンインターポーザー」上に、GPU、CPU、それにDRAMを積層した高帯域幅メモリ(HBM)が接合してあります。この接合は先端パッケージの中工程で行われます。
メモリであるHBMを搭載するのは、生成AIでの画像生成などで膨大なデータを高速で処理する際にGPUの性能のボトルネックを削減できるからです。
エヌビディアの業績が絶好調なのは同社のAIチップ「H100」が深刻な供給不足にあり、価格が高騰しているからです。
この供給不足のボトルネックは上述の先端パッケージングの中工程にあるのですが、その理由の一つにHBMの供給不足があると見られています。
サムスン電子はHBMを製造しており、第3世代のHBM2Eの量産を開始した2019~20年ごろまで他社に先行していました。
ところが今回退任の決まった慶桂顕氏が半導体部門トップだった頃に、サムスン電子はHBMの核である積層技術の開発ペースを落としてしまいました。
論理チップの受託生産事業への巨額の投資と業績拡大を急ぐあまり、HBMの開発に十分手が回らなかったのだと思われます。
そのため第4世代のHBM3の市場投入が遅れ、「H100」向けのHBMをエヌビディアに十分供給できなくなってしまったのです。
いまではサムスン電子に規模が劣る、同じ韓国のSKハイニックスが「H100」向けのHBM供給の大半を担っている形です。
HBM市場シェアもサムスン電子はSKハイニックスに抜かれてしまいました。
もしDRAM生産世界首位のサムスン電子がHBM3の開発にいち早く取り組んでいれば、AIチップの供給不足は今ほど酷くはなかったでしょう。
エヌビディアの業績急伸、株価暴騰に、サムスン電子の不甲斐なさが一役買っているのです。
★半導体市場の現状については、本日配信したアボマガ・エッセンシャルの記事をご覧ください。
半導体市場は世間一般が思うほどの力強さがあるわけではなく、むしろ不健全です。AIチップ不足の解消には数年掛かるかもしれません。
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