失業給付上乗せ終了→雇用殺到→早期テーパリング?

[2021/08/10 ロイター]FRB当局者、テーパリング間近と指摘 利上げ協議の進展も示唆
 
米連邦準備理事会(FRB)当局者の2人は9日、米経済は急成長しており、労働市場は依然として改善の余地があるものの、インフレ率は既に利上げ開始の条件の1つを満たす可能性のある水準に達したとの認識を示した。
 
アトランタ地区連銀のボスティック総裁は、第4・四半期にテーパリング(量的緩和の縮小)を開始できると想定しているとしつつ、雇用市場がこのところの堅調な改善ペースを維持すればさらに早期の開始も可能との認識を示した。
 
また、ボスティック総裁とリッチモンド地区連銀のバーキン総裁はともに、インフレ率はFRBの2%目標を既に達成しているとの認識も示した。
 
両総裁の発言は、FRB当局者がいつどのようにテーパリングを進めるかについて協議する中、新しいフレームワークにおけるインフレ目標の達成判断についても議論を進めていることを示唆している。
 

 
現在市場の最大の関心事である、Fedのテーパリング開始時期について、8月の雇用データが非常に重要となってきます。
 
昨春のパンデミック・ロックダウンで失われた、宿泊、レストラン、レジャーなど対面業務のある職種の雇用は回復傾向にあります。
 
7月に米国雇用者数は前月から94.3万人と大きな伸びを見せましたが、このうち4割に当たるおよそ38万人はレジャー・ホスピタリティ産業です。
 
ワクチン接種が進み宿泊、レストランなどを利用する人々が増えたことと、失業給付金の上乗せ措置が9月2日切れることが、対面業務のある業種の雇用回復の原動力になっています。
 
失業給付金の上乗せ措置により、宿泊、レストランなど低賃金の職種に就いていた人たちは、家でダラダラ過ごしていても働いていたよりも多くの所得を得ることが出来ましたが、それが出来なくなります。
 
現在も1000万人以上が何らかの失業手当を得ているとされており、彼らは生活のために再び働かないといけなくなります。そのため8月、9月に雇用はますます増えることが予想されます。
 

画像ソース: Zero Hedge

 
失業手当を受け取ってきたのは宿泊、レストランなどの低賃金の人々が中心であるため、こうした職種の雇用がますます増えていくことになります。
 

画像ソース: Zero Hedge

 
また低賃金の職種の賃金の伸びは、インフレの伸びに影響を与えますが、現在まで賃金上昇が続いてきました。
 
インフレ・雇用の両面から、金融緩和の縮小に舵を切らないといけない状況にあることは間違いありません。
 
しかしデルタ株に対するワクチンの有効性が世界的に疑問視され、米国が再び全土の都市封鎖を実施すれば、話は変わってきます。
 
CDCの資料や最近の感染状況から、ワクチン接種はデルタ株への感染防止にあまり期待できず、他人への感染予防効果はほぼないことが明らかとなってきました。
 
接種から時間が経過し有効性が低下したためか、イスラエルではワクチン接種を終えた高齢者が重症化するケースが目立っています。