ICTにおける台湾の重要性の高まりと地震リスク


最近、半導体不足が紙面をにぎわせていますね。

半導体製造で大きなプレゼンスを持つ台湾ですが、近年、アジアのICT基地としての重要性が増してきています。

この10年、グーグルやフェイスブックなど巨大IT企業が世界各地につくるデータセンターを結ぶ専用網として海底ケーブルを敷設してきました。

大西洋を横断する海底ケーブルのデータ通信量の実に8割が、グーグルやフェイスブックなどコンテンツ事業者が占めます。

近年はアジアでのデータセンター需要の高まりと米中対立のなか、台湾と海外を結ぶ海底ケーブルの容量が急速に増えています。

台湾と海外を結ぶ海底ケーブルの通信容量は、2019年には25テラバイトにまで拡大し、20年末には51テラバイトに拡大する見込みです。

グーグルやフェイスブックらが建設していた米国ロサンゼルス−中国香港を結ぶ太平洋横断海底ケーブルは、米中対立のため、ルートがロサンゼルス−台湾、フィリピンへと変更されました。

台湾の通信大手の中華電信は、台湾と海外をつなぐ海底ケーブルを、今後3年内に3本新設することを計画しています。

グーグルは台湾に3つ目のデータセンターを建設中です。マイクロソフトは台湾に初めてのデータセンターを建設中の他、ハイテク企業が集積する新北市に、関連のインフラ開発や研究を行う新拠点「AHSI」も設置します。

他のICT企業はAIセンター、IoT実験施設等の開設をしてきました。

このように台湾は、世界のクラウド、AI、IoT等のサービスの円滑な利用に関し、重要性が急速が高まっています。

しかし台湾は地震大国でもあります。過去に、台湾で起きた地震が世界に大きな影響を与えたことがありました。

2006年12月に台湾でマグニチュード7.1の地震が発生したとき、国際海底ケーブルが切断し、中国、シンガポール、香港の一部でインターネットが使えなくなりました。

日本でもネット証券会社の中国株取引サービスに障害が発生した他、日本の携帯各社の国際ローミングサービスが利用できなくなりました。

また韓国では一部銀行のオンラインバンキングサービスとATMが機能しなくなりました。

もし今後、台湾で巨大地震が起き、海底ケーブルの一部が寸断されるようなことがあれば、世界経済に与える影響はもっと大きくなることが予想されます。

また大地震により、TSMCの半導体製造工場が損傷し、一時的に稼働が止まる可能性もあります。

10年前の東日本大震災のとき、ルネサスエレクトロニクスの栃木の工場で設備が損壊し、一部稼働を再開するまでに約3カ月の時間を要し、完全復旧まで半年程度かかりました。

これからは、よその国で起こった自然災害が我々の生活に、より大きな影響を及ぼしかねない時代に入るのかもしれませんね。