The Economist誌の購読に向いている人・向かない人

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The Economist誌の購読に向いている人・向かない人

初回公開日:2015/09/05
最終更新日:2016/11/08

 

 今回はThe Economist誌の購読に向いている人、逆に向いていない人はどんな人かどうかについて、実際にThe Economist誌を購読している者の立場からの個人的見解について簡単に話していきます。

 

 The Economist誌は年間購読料が高いですし、新聞ということもあり誰にでも手軽におすすめできるようなものではありません。購読前に自分に合っているかどうかを簡単に把握しておくと良いでしょう。

 

The Economist誌の購読に向いている人

 まずThe Economist誌の購読に向いている人です。4年近くThe Economist誌を読んだ人間として、次のような人はThe Economist誌を読むのがよいのかなと思います。

 

  • 経済、金融、ビジネスの動向を効率的に理解して仕事や投資などに活かしたい人
  • 世界で起こっている出来事を俯瞰して、その後の動向を調べるきっかけにしたい人

 

 まずは経済、金融、ビジネスの動向を効率的に理解して仕事や投資などに活かしたい人にはThe Economist誌は向いているでしょう。

 

 The Economist誌は一週間に起こった経済、金融、ビジネスに関する記事を毎回10ページ程度でまとめてくれています。

 

 普段毎日新聞を読んでいても、仕事で忙しいなどして毎日のニュースを追うことは難しい人もいることでしょう。また毎日のニュースは非常に膨大でどういったニュースを読めば良いのかわからない人もいるかもしれません。

 

 The Economit誌は毎日のニュースを中々追えない人、ニュースを選別するのがわからない人には向いています。一週間のニュースの中で特に重要なニュースを効果的に一つの記事にまとめてくれているので、特に重要なニュースを忘れることなく追うことができます。

 

 The Economist誌の経済、金融、ビジネスに関するニュースは、各種出来事、マクロ指標データや決算書内の数字といった事実に基づいた分析がされており、なかなか有用なものも多いです。

 

 またビジネスに関するニュースは一つの企業に着目した記事もありますが、同業多種の企業の現状や基本的なビジネスモデルの紹介なども扱ってくれる場合があるので、様々な業種の世界的なビジネスがどのように行われているのかを簡単に知るきっかけとしても役立ちます。

 

 The Economist誌はブルームバーグといったメディアと比較すると速報性にはもちろん劣りますが、週刊である分だけ一つの記事の濃さや分析の深さがより多いものです。腰を据えて読む分にはThe Economist誌の方がよく知れるでしょう。

 

 経済、金融、ビジネスに関する記事はプロパガンダがあまり含まれておらず、事実に基づいた分析が中心ですので比較的安心して読みやすいメリットもあります。こうしたことから経済、金融、ビジネスに関する記事を中心に読みたい人にはThe Economist誌は中々良いのではないでしょうか。

 

 もう一つThe Economist誌を読むとよいのは、世界で起こっている出来事を俯瞰して、その後の動向を調べるきっかけにしたい人です。

 

 The Economist誌は一週間分の世界のニュースをピックアップして伝えてくれるので、世界全体で一体何が起こっているのかを広い目線で知る分には有用です。

 

 世界情勢についてはインターネットで検索すればいくらでも世界各国のメディアのニュースを見ることができますが、インターネットは自分の興味のあるニュースを知ったりより深く分析するためのツールとしては役立ちますが、自分の知らないニュースを知るためのツールとしてはあまり有用ではありません。

 

 そこでThe Economist誌も使えば、いままで自分が知らなかったニュースを知ることができ、インターネットでさらに調べるきっかけにすることができます。

 

 注意して欲しいのは、これから述べるようにThe Economist誌はエリート層のための機関紙と言える新聞であり、国際情勢に関するニュースは独自の意見やプロパガンダがふんだんに含まれています。よってThe Economist誌の記事を読んだだけで世界情勢を理解しようとするのは危険です。

 

 あくまでThe Economist誌は国際情勢を俯瞰的に把握するためのツールの一つとして利用し、インターネットでニュースを調べたり本を読んで理解を深めるきっかけづくりとする。このように利用すれば非常に有用であろうと考えます。

 

 よってThe Economist誌を見ることでいままで自分が知らなかったニュースを知ることができます。こうして知ったニュースをインターネットで調べるきっかけにする分には非常に有用であろうと考えます。

 

The Economist誌の購読に向いていない人

 今度は逆にThe Economist誌の購読に向いていない人についてです。The Economist誌はたしかに人によっては世界の動向を知り自らに生かすためのツールとして有用ですが、一方で人によってはThe Economist誌の購読はお金の無駄になるだけでなく、害となってしまう場合もあります。

 

 次のような人は残念ながらThe Economist誌にはあまり向かないと思います:

 

  • 何事も信じやすい人
  • 世界の歴史(裏歴史も含む)を学ぶ意欲が全くない人

 

 何事も信じやすい人は、残念ながらThe Economist誌の購読には向きません。何故ならプロパガンダも多大に含まれており、すべてを信じてしまうと痛い思いをする可能性があるからです。

 

 The Economistはこちらの記事で述べたように、ロスチャイルド家といった欧米の国際銀行家が所有しているメディアである関係上、世界情勢に関する論調はエリート層寄り、支配層寄りのものとなっています。エリート層のための機関紙と言えます(個人的見解です)。

 

 そのためThe Economist誌が肯定している論調は「1%の層には都合がよいが99%の層には悪い」ものになりやすいのです。逆にThe Economist誌が否定的に述べている論調は「1%の層には都合が悪いが99%の層には決して悪いとはいえないもの」という場合もあるものです(必ずしもそうではないですが)。

 

 これはThe Economist誌にかぎったものではなく、新聞の歴史的な側面を反映しています。フランス革命による絶対王政の崩壊、ロシアにおける共産主義の台頭~ソ連の樹立、ナチスドイツや大日本帝国による軍国主義の形成、こうしたものにはすべて新聞による大衆のコントロールが大きな役割を果たしてきたのです。

 

 最近でも極悪人ヒラリー・クリントンの素性がウィキリークスやFBIによって世界中にバレてしまいましたが、それでもほとんどのアメリカの有力紙が大統領候補にクリントンを応援していますよね。CNNといったメディアとクリントン陣営とのズブズブな関係もバレてきましたしね。

 

 これが新聞といった大手メディアの歴史的な実情なのです。The Economist誌もこうした例にまったく漏れないと言って良いですし、国際政治に関するニュースではThe Economist誌は意見をかなり前面に出しています。

 

 よってThe Economist誌を読む際は、意見に左右されない穿った見方がどうしても必要になってきます。そうしないと知らず知らずのうちにおかしな考えに陥る可能性が十分考えられます。

 

 ですので何事も信じやすい人は、残念ながらThe Economist誌は読まないほうが良いです。むしろ皆さんにとって害のあるものになるかもしれません。

 

 もう一つ、世界の歴史(裏歴史も含む)を学ぶ意欲が全くない人にもThe Economist誌の購読はおすすめできません。

 

 上にも書いてきたように、新聞というのは歴史的に支配者によるプロパガンダ・ツールとして利用されてきました。The Economist誌も意見を前面に出している面が多く見られるので、変な意見に惑わされないように対処することがどうしても求められます。

 

 新聞の変な意見に惑わされないようにするためには、世界の歴史(裏歴史も含む)を学んで、一体世界は権力者の意向によってどのように動いてきたのかを知っておくことがどうしても大切となります。

 

 特に危機を煽って人々を動揺させて、権力を支配者側に集中させるという手法が繰り返し利用されてきた歴史はぜひ知っておくと良いでしょう。これを知っておくだけでも、新聞への見方が大きく変わって幅広い視野で冷静に考えることができるようになります。

 

 ※近年も2001年の同時多発テロ以降、アメリカはイラクやシリアで戦争を行ったり、愛国者法によってテロへの戦いの名目でアメリカ国民の通話履歴などをNSAが収集して監視社会の礎を築こうとしてきましたよね。まさに危機を煽って人々を動揺させて、権力を支配者側に集中させる手法がとられていたわけです。

 

 具体例をあげましょう。例えば2016年11月にも世界中が今後数十年のうちに水不足になるから、水の所有権を明確にして水の適正価格を定めるべきという記事がThe Economist誌から出ましたが、これも非常に怪しい記事ですね。

 

 人によっては水不足になっては人間が生きられなくなるから、いずれは水の適切なコントロールは必要だな、と思われるかもしれません。

 

 しかしいま述べたような歴史が実際にあったことを感覚的にでも理解していれば、この水不足のニュースはむしろ「水の実権を握って人間を完全にコントロールしたい人間がいるのではないか」という見方もできるようになります。

 

 水の所有権を一部の人間が握ったら、競争相手がいないのでいくらでも値上げし放題ですし、国民も値上げに反対できないですよね。反対したら「だったら水を買わないでよろしい」といわれて水が飲めずに死ぬだけですから。また作物が不足して飢餓も発生するかもしれないですよね。作物の栽培には大量の水が必要なのに、水の値段があがれば自由に栽培できなくなりますから。

 

 何らかの危機を煽って権限を強化する動きは歴史的によくあることです。こうした危機を煽るニュースに対して冷静であり続けるためには、世界の歴史をちょっとでも知っているかどうかに掛かってくるのです。

 

 逆にいえばこうした歴史を知っていれば、The Economist誌は世界が一体どのような方向に向かおうとしているのか、それに対して自分はどのように向き合えばよいのかを早くから考えるきっかけになります。そういう意味で有用な新聞ではあるわけです。

 

 別に世界の歴史を詳細に学ぶ必要はないです。ただ世界の歴史、裏歴史(国際銀行家などの暗躍に触れている歴史)について何らかの興味をもって、時間のあるときにいくつか文献を見て世界のこれまでの流れを感覚的に理解できれば十分でしょう。

 

 もしこうした世界の歴史を学ぶ意欲がまったくない方は、私からはThe Economist誌を読まれることはおすすめできません。

 

**********

 

 いかがだったでしょうか。多くの方は何らかの複雑な感情をお持ちかもしれませんね。しかし新聞の歴史的な役割を考えると、新聞の紹介をするにあたってはどうしても負の側面についても事前に知っていただかないといけません。

 

 The Economist誌の負の側面についても簡単に知った上で、それでも読んでみたいという方はぜひ購読してはいかがでしょうか。世界の動向を俯瞰したり経済、金融、ビジネスに関する最新知識を得る分にはThe Economist誌は有効だと思いますので、興味のあるかたは購読してみてください。

 

 →The Economist誌を購読する場合に気をつけたほうがよいことをもう少し知っておく
 →The Economist誌をFujisanで購読する

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