ランダムだから人生が楽しくなる

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ランダムだから人生が楽しくなる

   私たちはとにかく安定を求めます。 仕事、給料、人生、あらゆる場面で安定を求めてしまいます。 一方で私たちは何かと不確かなこと、ランダムなことを毛嫌いします。


   その考え、考え直しましょう。


   私たちが本当に人生を楽しんでいる瞬間を考えると、安定で確実なところにはほとんど存在しません。 むしろランダム、不確かであることが私たちの人生を輝かせ、生きる楽しさ、モチベーションを与えているのです。

ハプニングと楽しみ

   本当に人生が楽しい瞬間って、ハプニングとか何か予想外のことが起こった時です。


   例えば旅だってそうでしょう。 あらかじめ旅行前にネットで調べた、山の上からの絶景ポイント。 絶景見たさに旅行に行くも、あいにくの雨。 雨はもちろん、ぬかるんだ斜面、ウザったい湿気。 頂上を上る前になんとか雨は止んで、やっとの思いで頂上に達したらなんと空に虹がかかっている!


   旅の思い出を振り返ってみても、虹の景色といった予想外の出来事に対する感動が強いように感じます。


   テレビ番組だってそうです。 バラエティを見ていたって、本当に面白いのはハプニングといった何か予想できないことが起こった時ではないですか。


   ドラマや映画だって、予想外の結末を迎えるから楽しいのです。


   このように私たちが普段の生活でいつ楽しんでいるのかといったら、予測不能な意外なことが起こった時なのです。

私がバイブルを手にした方法

   あなたは自分にとってのバイブルとなるような運命的な本をどのようにして手にしたでしょうか? 私にとってのバイブルはすべて偶然によって自分の手に渡ったと言っても過言ではありません。


   私にとってタレブの「Antifragile」は一つのバイブルですが、この本を見つけたきっかけはハワード・マークスの「投資で一番大切な20の教え」という本です。


   当時投資についての勉強をしようと思い、本屋の投資本コーナーで何かいい本がないかなぁと探していた時にマークスの本に出会いました。 文章の一つ一つに重みがあり、しかも伝説の投資家であるウォーレン・バフェットが推奨していたことが購入の決め手です。


   マークスの本を読み終えて、さらに投資の勉強を行うために何か読みたいと思って「そうだ、マークスが序文にあげていた、マークス推奨の本を読めばいいじゃん」と考えました。 マークス推奨の本のうちの一冊がナシーム・タレブの「まぐれ」という本だったのです。


   タレブの「まぐれ」を手に取って読んでみたら、すっかりタレブの虜になって、せっかくだしタレブの最新作が読みたいと思ったのです。 それが「Antifragile」でした。


   しかもここにはもう一つの偶然があります。 それは私が英語を勉強していたことです。


   当時はAntifragileは日本語訳が出ておらず、英語で読むしかありませんでした。 しかしちょうど私は英語を2年半勉強していたので何とか読むことができたのです。 もしこのとき英語をちゃんとやっていなかったら、もちろんAntifragileを読むことはなかったしこうしていま、このサイトでAntifragileについて書いてなかったでしょう!


   努力は何かしらの形で報われると私は思っていますが、ここでも英語の勉強をしてきたことが意外な形で報われたのです。


   私がバイブルを手にできたのも、意図的ではなくこうした偶然が重なりに重なった結果なのです。


   * * * * * *


   こうやって自分にとっての大きな思い出や現在の自分の軌跡を振り返ってみると、そこにはランダム性が関わっているのです。 皆さんが気づかない間にランダム性によって人生が彩られているのです。


   しかし規範に縛られた社会に住んでしまっているがために、ランダム性のすばらしさを忘れてしまいがちです。 規範、ルールと言うのはランダム性や不安定なものを排除して、安定化させることが目的ですから。


   ランダムで不確かなものはそれ自体が問題であるというよりは、ランダムで不確かなものをどう解釈し実行に移すかという人間自身の問題なのです。


   私たちがこれらをどう捉えるかによって、ランダムで不確かなものは楽しみを与えてくれたり牙をむいたりする。 そこを理解しなければなりません。


   何も計画を立てずに知らないところに行く、自分の興味のあることを直近の必要性とは関係なく楽しむ。 全然それでもいいじゃないですか。


   一番大切なのはとにかく行動して、試行回数を稼ぐこと。 例えまだ未来が見定まっていなくても、こうすることでランダムで不確かなものを友達にして、思いもよらない道が切り開けるのだと思います。

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