当たり前を疑え-心理が生むリスクを理解し不確実を楽しむ-

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譲る行為における大切な思考

   いままで譲る行為についていくつか例を交えながら見てきました。 それでは譲る行為で一番肝となる思考というのは一体どういった思考なのでしょうか?


   譲る行為で一番大切なのは相手がどの方向にどれくらいのスピードで進みたいのかを理解することです。 相手の立場になって考えて相手のスピード、目線、その他のちょっとした動作から相手がどのような行動をしたいかどうかを見抜くことが大切なのです。


   この相手の歩行願望を一瞬で見抜くこと―予測の一種―が譲る行為の一番の基礎となります。 これをしっかりと行って行動に結びつけることが大切となります。


   相手がしたい動作を一瞬で見抜いて行動に移していくことは大変なように思います。 確かに場合によってはなかなか相手の行動を見抜けない場合がありますが、簡単なケースも十分にあります。


   例えば相手が真っ直ぐ視線を向いて歩いていれば、その人はその方向を真っ直ぐ進みたいんだなということがすぐわかります。 さらにハイペースで背筋を伸ばして進んでいればもう確実です。


   相手の足の方向は真っ直ぐを向いていますが、ペースがゆっくりで目線が斜め方向に向いていたとします。 そのとき相手はきっと目線の方向に進みたくて、入るスペースがあるかどうかのチャンスをうかがっているんだろうなということがわかります。 そのときは相手の進みたい方向には行かないようにすれば相手の邪魔にならず道を譲ることができます。


   こちらは小道の左側を歩いています。 すると前方にある女性が犬を連れてこちらに向かって歩いています。 最初彼女は道の右側を歩いていましたが、犬が道の左側の草むらに興味を示してその草むらに入ってしまいました。


   このときこちらはもちろん道の右側に移動するのがよいですよね。 彼女が進むためには犬を引っ張らなくてはいけません。 引っ張った上でまた道の右側に行くのって大変そうじゃないですか?


   しかもこちらが右側に行けば、道の右から順に自分、飼い主、犬の順番になりますよね。 そうするとすれ違うときに自分と犬との間に飼い主がいますから、犬との不意な接触も防げますしね。


   3つの例を挙げましたがこのような判断は難しく思えるでしょうか? 私は決して難しいことではないと思っています。 相手の目線や歩く動作は相手の歩行願望をはっきりと表現してくれます。 その歩行願望にできるだけ応えてあげる、ただそれだけです。


   相手の立場を考えて行動に移すことが譲ることなのです。 このような簡単な思考を絶えず繰り返すことができるか、ただそれだけです。 よって譲る行為、それ自体は決して難しくはありません。


   しかしもちろん状況によっては上手く譲ることは簡単ではありません。 混雑している道を歩いているときは周りの様々な状況を総合的に判断して歩いていかなければなりません。 場合によっては譲ろうとすると逆に他の人に迷惑を掛ける場面もあります。


   例えば電車のホームで歩いているときを考えて見て下さい。 赤丸が自分、青丸は上方向に進んでいる人、緑丸は下方向に進んでいる人、黒丸はホームで電車を待っている人を表します。 自分は青丸と同じ方向に進んでいます。

電車のホーム

   いま黄緑丸の人がこちらが進んでいる列を横切って右側の電車を待っている側に移動したいと思っているとします。 しかしあまりにも人が多いために、黄緑丸の人を譲るにはその場に一瞬立ち止まる必要がありそうです。


   この場合は立ち止まってでも譲るべきでしょうか? 個人的にはここでは立ち止まるべきではないと思っています。 理由は立ち止まると自分の後ろに並んでいる人の迷惑になるからです。 一人の人を譲るために他の多くの人に迷惑をかけることは決していいことではないでしょう。


   このようにある一人の人を譲ろうとすると他の人に迷惑をかけてしまう場面だってあります。 自分の足も一瞬止まってしまいます。 あくまで譲る行為は周りの流れの中で自然に行えることが理想です。 他の誰かに迷惑をかけるくらいなら無理に譲る必要はないでしょう。


   譲る気持ち、行為はとても大切ですが、それに縛られすぎずにバランスよく歩けるようにすることが大切です。

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