世界情勢の悪化と通貨の減価はリンクしている

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世界情勢の悪化と通貨の減価はリンクしている

初回公開日:2017/02/09
最終更新日:2017/02/09

 

 今回は歴史的な観点から、世界情勢と通貨に関する変化との関連を簡単に説明します。そして歴史的視座に立ったときに、一体現在はどのような流れの中にあるのか、今後どのように対処しておくことが重要になりそうかについて話します。

 

 

世界情勢の悪化と通貨の減価はリンクしている

 世界情勢に大きな変化が現れるときには、必ず通貨に関しても大きな変化が起こるものです。

 

 逆に通貨に関して大きな変化が起こるときには、世界情勢に大きな変化が生じるときとも言え、お互いに密接しているものなのです。

 

 以下は過去200年の間に世界で起こった、世界情勢における大きな変化や出来事・背景と、通貨や為替に関する大きな変化や出来事について簡単にまとめたリストです。

 

 年代の色づけは、赤色がその後しばらく世界史的に見て世界情勢が良くなる(少なくともしばらく大幅に悪い影響が現れない)期間を表しており、青色がその後しばらく世界史的に悪い方向に進んでいくことを表現しています。

 

年代 世界情勢の出来事・変化 通貨・為替に関する出来事・変化
1816年~ 大英帝国による世界覇権が進展していく イギリスが金本位制を採用、英ポンドの価値がゴールドと同等に
1880年前後 植民地資本主義と結びついたグローバル自由経済が進展していく 国際金本位制の確立、世界各国の通貨価値が安定化
1914年 第一次世界大戦開始 国際金本位制の一時的な崩壊、英ポンドの価値下落、独マルクはやがて紙くずに
1920年代 第一次世界大戦の終結、戦勝国は疲弊し緊縮財政 各国が再び金本位制を採用、英ポンドの通貨価値も戦前の水準に復活
1930年代 世界大恐慌による、世界的な大デフレ。金融機関の破綻連鎖。ブロック経済に移行。 各国が金本位制を離脱、国際金本位制の完全崩壊。世界中の通貨の価値がゴールド比較で大幅下落
第二次世界大戦後 ブレトン・ウッズ体制での米国および国際機関による覇権が進展していく ドル金本位制の確立、世界各国の通貨価値の下落が食い止められ安定化
1970年代 世界が高インフレ+高失業率によるスタグフレーションに見舞われる ドル金本位制の崩壊、変動相場制へ移行。世界中の通貨の価値がゴールド比較で大幅下落
1980年代以降 グローバル経済・金融が進展していく プラザ合意によるドル安政策、その後世界の通貨価値はゴールドと比較して多少増えていくが(背景にはペトロダラーシステムによる米ドル需要増等があるものと思われる)、その上昇分は現在はなくなっている

 

 過去200年の歴史を見ていくと、カネに関する大きな変化が起こるときは、その後の世界情勢の大局にも大きな影響を与えることがわかりますし、逆に世界情勢の大局の変化が通貨にも大きく波及することが見て取れると思います。

 

 特に重要なのは、年代が青色に塗られている部分です。よく見ると、今後世界情勢の大局が悪化するときには必ず各国の通貨の価値の大きな下落も同時に生じてきたのです。

 

 1914年の第一次世界大戦勃発、1930年代の世界恐慌による大デフレ、金融機関の破綻、そしてブロック経済への移行、1970年代のスタグフレーション...世界的な政治、経済、金融の悪化または動乱化が、通貨価値の大きな下落とリンクしているのです。

 

 それを表すのが下図です。下図は金価格を100としたときの各国の通貨価値の推移です。図を見ると明らかなように、数十年の時を安定期間経た後に通貨価値が金と比較して一気にズドーンと下落していますよね。

 

金価格と比較した先進国通貨の推移

画像ソース:World Gold Council

 

 これが私たちが普段何気なく利用している通貨の実態なのです。

 

 こうした過去の歴史を振り返れば、何やら世界に大きな変化が生じて悪い方向に行きそうな予感がするときには、通貨への影響を第一に考え、通貨の減価に早めに対処をすることが大切だと言えるのです。

 

現在は世界に大きな変化が生じて悪い方向に行きそうですか?

 さて現在は一体世界でどのような変化が生じようとしているでしょうか。現在、例えば次のような変化が出てきています:

 

  • 市場バブルが崩壊に向かう流れ(→ソース1→ソース2)
  • 不動産市場から中国人投資家が引き上げの流れ(→ソース)
  • 米国がTPP離脱、自由経済から保護経済への流れ
  • グローバルな資本移動が縮小の流れ(→ソース)
  • トランプがイスラム圏7ヶ国に対して一時入国禁止措置の大統領令に署名、ヒトの移動の自由制限への流れ
  • 欧州では移民受け入れ反対を訴える政党の支持率が増加しており、ヒトの移動の自由制限への流れ

 

 いままでグローバル経済・金融によってモノ・カネ・ヒトの移動が自由化されてきましたが、その動きがなにやら逆回転しているように思えませんか。世界の金融市場も何だか末期的な雰囲気が漂ってきました。

 

 1930年代の世界恐慌は、1929年秋の米国株式市場のバブル崩壊に始まり、カネを借りて投資してきた投資家が負債を返済できなくなり流動性危機が生じ、世界中の金融機関が破綻。世界中で大デフレが起こって、自由経済は終わりブロック経済に移行していきました。

 

 何だか現在はこの世界恐慌と似たような状況が起こりつつあるような状況に見えませんか?

 

 もし皆さんが「そうかもしれない」と思われるのであれば、先ほど挙げた歴史を思い起こし、世界中の通貨価値の減価を招くことにつながるのではと考えることが大切です。つまりモノに対する通貨減価の悪影響を考えなくてはならないのです。

 

 日本の場合は(コメは除く)食料自給率が低く運送業の人手不足が深刻、かつ賃金に見合わない過酷な労働環境により今後も人手不足が早期に解消される見込みは薄く、農産品物流対策も後手後手に回っている印象を受けます(→参考)。

 

 そのため今後は食料の需要と供給のミスマッチによる食料の値段高騰の流れも否定できず、モノに対する減価の影響は私たちの生活にも非常に大きな影響を与える可能性が否定できないのです。

 

 いまは通貨価値の目減りに備えて、価値の減らないもの、価値が相対的に増えると見込まれるものを持っておくのが良さそうな時期に入っているのではないでしょうか。

 

 その筆頭はやはりゴールドの保有です。他にも例えば家庭菜園等で作物を育てるなどでも良いでしょう。とにかく通貨(日本円等)以外に価値のあるものを所有しておく、価値のあるものを生み出せる環境やスキルを身につけておく、こうした備えや行動が大切になりそうです。

 

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画像ソース:Zero Hedge

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