率先して悪事・非倫理的行為に手を染め続ける日本企業

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率先して悪事・非倫理的行為に手を染め続ける日本企業

2018/06/13

 

灰色の企業

 

 英国での原発建設・稼動をなんとしても成功させたい日立。データ改竄事件が国際問題、米国での訴訟に発展するかもしれない神戸製鋼所や日本自動車メーカー。神戸製鋼所に訴訟費用を融資提供して助け舟を出す3メガ銀。日本企業は一体どこを目指しているのだろうか。

 

日立の英国原発事業でメイ首相が大幅譲歩を示した

 日本企業という列車は、我々日本国民を乗せたまま一体どこを目指して走行しているのでしょうか。

 

 日立製作所は英国・ウェールズのアングルシー島にウィルファ原発の建設を計画しています。2020年の稼動を目指し、原子炉2基が建設される計画です。

 

 総事業費は約3兆円。うち2兆円は日英両国の金融機関による融資、9000億円は日立の日英政府がそれぞれ3000億円ずつ出資する計画です。
【2018/06/05 日本経済新聞】日立、英原発の推進で覚書 英政府と基本合意
【2018/04/07 FoE Japan】国民負担で進められる?! ウェールズへの原発輸出

 

 当初、日本側は三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3メガと国際協力銀行が1.5兆円の融資を行う予定でした。

 

 国際協力銀行は日本政府100%出資の特殊銀行であり、3メガの融資も政府全額出資の日本貿易保険が債務保証する計画でした。

 

 つまり当初は、1.5兆円が貸し倒れた場合のツケはすべて日本国民が支払う計画でした。
【2018/01/10 日本経済新聞】政府が公金で債務保証 日本の原発輸出に英国現地の反応は

 

 しかし今年5月になり、英国政府は日英両国の金融機関の総融資額2兆円を全額英国政府保証すると提案したのです。

 

 しかもこれは、日立の中西宏明会長とメイ首相との直接交渉での場です。
【2018/05/09 毎日新聞】英国 日立原発に英政府保証 借り入れ全額、日本側に提案

 

 英国政府は大幅な譲歩を示したのです。

 

 そしてこの英国側の譲歩をきっかけにして、日立は英国政府と原発推進の覚書を交わすことができたのです。
【2018/06/05 日本経済新聞】日立、英原発の推進で覚書 英政府と基本合意

 

 

 諜報大国で交渉術にも長ける英国政府が大幅譲歩を提案したということは、相応の見返りを求めているということです。

 

 日立と英国政府との交渉は現在も継続中ですが、以下の2つの項目について現在も話がまとまっていません。

 

  • 英政府による電力買取価格の水準
  • 原発事故など不慮の自体が起きた場合の「損害賠償責任」

 

 日立は民間企業ですので、ビジネスに関わる話である、1番目の「電力買取価格の水準」については大きな関心があるはずです。

 

 一方、2番目の「損害賠償責任」は、仮に発生した場合の金額が巨額であり日立一社で賄えるわけがありませんから、必然的に国民負担という形にしたいはずです。

 

 日立にとっては「電力買取価格の水準」で有利な価格(高値)を引き出し、代わりに「損害賠償責任を日本国民に肩代わりさせる」ことが、英国政府の譲歩に応える方策のなかで、最もメリットが大きいことになります。

 

 日立の中西会長は今月1日に経団連会長に就任しましたから、安倍政権に圧力を掛けることで、損害賠償責任をすべて日本国民に肩代わりさせやすい状況にあります。

 

 

 今回の英国への原発プロジェクトでは、原子炉2基を建設します。発電設備容量合計は2700MWで、1基平均1350MWです。

 

 一方、悲惨な大事故を起こした福島第一原発の発電設備容量は480MWです。

 

 日本経済研究センターが2017年3月に発表した試算では、福島第一原発の廃炉・賠償費用合計を以下のように見積もっています。

 

  • 汚染水を海洋に希釈放出した場合:49.3兆円
  • 汚染水を処理した場合:70兆円

→ソース

 

 もし仮に、福島第一原発よりも発電設備容量が2.8倍超多い、日立が英国で建設予定の原発が事故を起こした場合、損害賠償額はどこまで膨れ上がるのでしょうか?

神戸製鋼所のデータ改竄事件は米国政府による日本自動車メーカー潰しに発展するか?

 もう一つ、神戸製鋼所。

 

 品質データ改ざん問題が刑事事件に発展しそうですが、それにとどまらず国際的な問題に発展していきそうです。

 

 2017年10月に米司法省は、神戸製鋼所に対し罰則付き召喚状(サピーナ)で資料提出を求めています。現在、米司法省本部が当該問題の本格捜査に動き出しているようです。

 

 捜査には、ドイツのフォルクスワーゲンの排ガス不正事件などを手がけた詐欺部が担当しており、詐欺罪などの適用を視野に入れているとのことです。
【2018/06/05 日本経済新聞】神鋼、米司法省も本格捜査 詐欺罪も視野

 

 フォルクスワーゲンは排ガス規制逃れ問題のこれまで2.77兆円を超える費用を計上しています。

 

 今年5月初めには米検察当局が、問題発覚当時のトップを務めていたウィンターコルン元会長を詐欺罪で起訴したと発表しました。
【2018/05/04 サンスポ】米当局、元VW会長起訴 排ガス不正問題で

 

 タカタのエアバッグ異常破裂問題でも、米司法当局は元幹部3名を詐欺罪で起訴、和解金だけで1150億円支払っています。

 

 神戸製鋼所もフォルクスワーゲンやタカタと同じような運命が待ち受けているのはほぼ確実です。あとは規模の問題でしょう。

 

 

 神戸製鋼所の品質データ改竄問題は、米国の経済制裁と合わせて考える必要があると思います。

 

 トランプ政権にとって、不正を犯した海外企業を法的に厳格に裁くことは、支持率アップに働きます。正当性をアピールできるだけでなく、米国ファーストの政策の成果にもなりますから。

 

 「40年異常も不正を続けてきた日本企業が米国民の職を奪っているなんてとんでもない。日本に鉄鋼関税を掛けるのは当然だろ」ということです。

 

 問題は、神戸製鋼所のデータ改竄問題が「米国当局による日本企業に対する不正の捜査、原告による訴訟、損害賠償請求の本格化」の始まりに過ぎない可能性があることです。

 

 ここ最近も三菱自動車による自動車燃費性能データ偽装、SUBARUによる燃費・排ガス検査データ改竄と、日本自動車メーカーによるデータの悪質な操作が表面化しています。

 

 データの悪質な操作が、日本自動車業界全体に蔓延している可能性がないと言い切れないわけです。

 

 トランプ大統領は5月23日、自動車輸入に関して通商拡大法232条に基づく調査を開始するようロス商務長官に指示し、商務省による調査が開始となりました。

 

 このタイミングですと、中間選挙後に自動車輸入関税導入の話が本格化し、来年にも自動車輸入関税が課される可能性があります。

 

 これを関税の話だけに狭めて考えることはできません。自動車輸入に関する通商拡大法232条に基づく調査が開始したことは、同時に「日本の自動車メーカーに対する不正捜査の準備が始まる/始まった」可能性を否定できません。

 

 「神戸製鋼所のデータ改竄問題」、「鉄鋼関税」、「日本自動車メーカーのデータ偽装・改竄」というこれまでの一連の事実・流れを照らし合わせれば、日本の自動車業界も近い将来、ますます大規模な不正が発覚し、米国司法省のターゲットになる可能性を排除できないのです。

 

 すでに神戸製鋼所のデータ改竄問題を巡り、米国消費者は神戸製鋼所および、神戸製鋼所から不適合品の供給を受けたトヨタを相手に連邦地裁に損害賠償を求める訴えを起こしています。
【2019/03/07 ロイター】神鋼・トヨタに損害賠償請求、データ改ざん問題で米消費者ら

 

 また米国際貿易委員会(ITC)は7日、情報娯楽システムや同システムを搭載した自動車に関連する特許侵害について、トヨタやパナソニックなどを調査すると明かしました。
【2018/06/08 ロイター】トヨタやパナソニックなど、米ITCが特許侵害で調査

 

 この日は、日米首脳会談が行われた日と同日です。

 

 もし日本の自動車業界全体が何十年も悪質な不正行為をしていたとしたら、その罰(バチ)がそう遠くないうちに日本の自動車業界だけでなく、日本経済全体に稲妻のごとく突き刺さるかもしれません。

潜在的犯罪企業に助け舟を出す3メガ銀

 神戸製鋼所は、訴訟による損賠賠償に備え、銀行に対し総額1500億円の融資枠(コミットメントライン)を要請しました。

 

 内訳は以下です。

 

  • みずほ銀行:約640億円
  • 三井住友銀行:430億円弱
  • 三菱UFJ銀行:430億円弱

 

 規模もですが、驚くべきことはその期間。5年という異例の長さなのです。

 

 通常、銀行が提供する融資枠は長くて1年(364日)で、毎年契約を更新していくことになります。融資枠が1年未満だと、国際金融規制(BIS規制)が銀行に対して要請する自己資本の備えをする必要がなく、銀行の負担が大きく軽減されるためです。
【2017/10/07 銀行員のための教科書】コミットメントラインの契約期間は、なぜ364日が多かったのか

 

 3メガ銀は、多大な負担を背負っても「潜在的犯罪企業」神戸製鋼所を守ることw選択したようです。

 

 もし、神戸製鋼所のような不正が自動車業界に蔓延していたとして、米司法省が本格捜査に乗り出したら、同じような銀行支援が字土砂メーカーに対しても行われることを示唆します。当然、額はもっと大きいでしょうね。

 

 大規模金融緩和やマイナス金利政策で貸し出す先がなくなり、金余りの状態が続く銀行が、我々の預金を「犯罪企業救済基金」として取り扱う可能性が無視できないということです。

 

 

 日本国民を乗せて、深い霧のなかに突入している「日本企業暴走列車」は、どこを目指して走行を続けるのでしょうか。

 

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