金・銀価格が下がるリスク:米ドルの巨額の買戻しが控えている

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金・銀価格が下がるリスク:米ドルの巨額の買戻しが控えている

2017/02/24
 ※本記事の今後の更新予定はありません。日時にお気をつけ下さい。

 

金・銀価格が下がるリスク:米ドルの巨額の買戻しが控えている

 本サイトでは将来への保険として金や銀をいまのうちに多少なりとも購入することを勧めていますが、もちろん今後金・銀価格が上昇し続けるわけではありません。特に短・中期的に金や銀の価格が下がる可能性も十分あります。

 

 金や銀の価格は米ドルの価値と相反する動きをする特徴があります。今後一時的にドルの価値が上昇すれば金・銀の価格にはマイナスの影響を与えるでしょう(下図の青が金価格、橙がドル指数)。

 

金価格と米ドルインデックス

画像ソース:macrotrends

 

 現在は短・中期的に金・銀価格が下がったり、波打つように大きく変動する可能性が十分あることは認識しておくと良さそうです。というのは現在世界中のトレーダーによる米ドル等の空売りのポジションが溜まっており、いずれポジション解消のために米ドル等を購入せざるを得なくなるからです。

 

 下図は2月14日現在のCME先物市場における、大口投機家のユーロダラー(オフショア米ドル)の先物ポジションです。2016年半ば以降からユーロダラーのショートポジションが加速度的に上昇しており、現在は約244万のショートポジションが残っています。これは現在までに2.44兆ドルの米ドル先物売りがされたことを意味しており、いずれはポジション解消のために同額の米ドル買いが発生することになります(時期はもちろん不明)。

 

ユーロダラー先物のショートポジション

画像ソース:Zero Hedge

 

 またFRBの政策金利に関する先物であるFF金利先物も2月14日現在でおよそ14万枚のショートポジション、額にして7,000億ドル程度の先物売りがされており、いずれはポジション解消のための買いが行われます。

 

FF金利先物のポジション

画像ソース:Yardeni Research

 

 米ドルの短期的な価値に影響を与えるであろう米国債やユーロ、日本円等の先物のデータも確認しましたが、ユーロダラー先物やFF金利先物のショートポジションと比較すると規模は小さいです。

 

 ユーロダラー先物やFF金利先物の積み重なったショートポジションを見ていると、今後は短期で米ドルの買戻しが入ってドルの価値も一時的に上昇することが十分考えられます。それに合わせて金や銀価格も一時的に下がるでしょう。

 

 ただ、最近は金については先物大口投機家の影響が少ない割には金価格が上昇しているんですよね。2016年は金価格が7月あたりまで大きく上昇しその後下落してきましたが、主に金先物大口投機家による売買動向が金価格に大きな影響を与えてきました。

 

 しかし2017年に入ると、COMEXの先物大口投機家の金ポジションはほとんどフラットにも関わらず、金価格だけは上昇しているんですよね。原因はよくわかりませんが、トレーダー以外の大口の買いが金価格に影響を与えているのかもしれません。そうなると米ドルが強くなっても金価格の下落がそこまで大きくならない可能性もあります。

 

金先物と金価格

画像ソース:第一商品

 

 ※銀については現在も先物取引が活発に行われています

 

 よって少なくとも金については、今後の下落を待って押し目買いに徹することが必ずしも功を奏するかどうかはわかりません。場合によっては世界市場が暴落しても金価格は思ったよりも下がらず、むしろ行き場の失った資金が金に流入する可能性もあります。
 →【参考】相対的に高まる資産退避先としての金・銀:安全資産としての国債という価値観が変わろうとしている

 

**********

 

 マーケットの動きを見ていると、今後金・銀の価格は短・中期的には下落したり大きく変動する可能性は否定できないでしょう。リーマン・ショックの頃も短期的に貴金属価格は下がりましたので、下がったところでの買いを狙うことも作戦としてはありかと思います。

 

 しかし金の最近の価格上昇や世界情勢を見ていると、買いのタイミングを見定めているうちに気づいたら価格が上昇していたという可能性もゼロとは言えないのが難しいところです。

 

 金や銀の価値は絶対にゼロになることはないので、まだ購入されていない方は将来への保険としていまのうちから少しでも購入を進めていくのが良いのではないでしょうか。価格が下がったらそのときまた追加で購入すれば良いのですから。

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